DREAM MAN

理想の自分を目指して・・・

【体験談】マンションの鍵を紛失して路頭に迷った顛末。費用や業者について。

time 2016/08/05

2012年秋のとある日曜日

私は自宅マンションの鍵を失くし、路頭に迷った。

最終的には錠前技師を呼んで鍵を開けてもらったが、家に入れたのは翌日月曜の昼だった。

なぜこんなに時間がかかったのか?

費用はいくらかかったのか?

等、体験談を記す。

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鍵の紛失

渋谷の自宅マンションへ帰宅途中、自宅近くの交差点で信号待ちの際に、
マンションの鍵がないことに気づいた。

血の気が引いた。

何度も何度も複数のポケットを探ったが見つからない。

今まで見えていた世界が一変し、胸が締め付けられる。

辺りはすでに暗くなりかけていた。

 

同居人がいなかった私は完全にシャットアウトされた。

何より問題なのが、同居人はいなくても同居猫が2匹いて、いずれもまだ買ったばかりの子猫だということだった。

餌があげられない。水は足りてるだろうか・・・

 

分譲マンションの場合、鍵の管理は完全に所有者に帰属しているので、誰も助けてはくれない。

スペアキーを持っているのは私だけ。それは部屋の中にあった。

 

「夢であって欲しい」

と願ったが、どうあがいても現実だった。

冷静を装ってはみたものの、込み上げてくる動揺に押しつぶされそうになる。

 

どこに鍵を忘れたか?

この日は午後に渋谷のAuショップで用事を済ませた後、富士そばで食事をとった。

おそらくこのどちらかのカウンターの上に置き忘れたに違いなかった。

この頃の私は、ポケットからわざわざ剥き出しの鍵を出してテーブルの上に置くという

妙なクセがあった。

 

1ヶ月前にも鍵を紛失し、見つかっていなかった。

その時はたまたま会社に予備の鍵を置いていたので何とか助かったが、

今度はその予備の鍵まで失くしてしまった。

思えばすべての出来事にはメッセージがあり

一回目に鍵を失くした時

「気をつけろ」と警告されていたのだ。

 

なぜこの頃、鍵を2連発で失くす程ボケていたかといえば、

◯◯剤を日常的にやっていて、断続的にその効果が切れてヨレていたから。

今はもうやっていない。

鍵の捜索

その時点はとりあえず、鍵が見つかることに期待をするしかなかった。

見つからなかった場合のことは、あえて考えなかった。というより考えられなかった。

見つけるしかない。

 

まず富士そばに戻り、私が座っていた席の上下及び周辺を探ってみたが、鍵は見当たらなかった。

店員に鍵の置き忘れがなかったか聞いてみても、特にそういう報告は受けていないとのことだった。

 

次にヤマダ電機はすむかいのauショップへ。

若者たちがごった返す中、緊迫した面持ちで自然と早歩きになりながら目的地へ向かう。

もしauショップにもなかったらどうしよう・・・

とにかくあることを祈るしかない。

 

auショップは既に閉まっていたので

裏口へ行きインターホンを鳴らす。

 

しばらくして「はい?」と応答があった。

なさけない声で事情を話すと、

「調べますので少々お待ち下さい。」

と言われ、5分ほど待った。

 

が、「ないですね」との回答。

とうとう現実を直視するときがきた。

逃げてはいけない。というより、逃げようがない。

さあどうするか?

 

長い夜が始まった。

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鍵の110番

とりあえず自宅マンションに戻る。

 

私のマンションは、かつて超有名女優や準有名女優も住んでいたことのある位の
セキュリティーのしっかりしたなかなかの高級マンションだ。

そのためほとんど要塞じみていて

エントランスとエレベーターにそれぞれロックがかかっていて、鍵なしでは通過できない。

 

ただ、仮にマンションの住人に紛れて通過したところで、堅牢な部屋の扉は固く閉ざされている。

結局考えられる手段は1つしかなかった。

プロに鍵を開けてもらうしかない。

 

「鍵の110番」

確かこのようなキーワードがあることを思い出し検索すると

いかにも頼りがいのありそうなホームページが見つかった。

これで助かる。感動で涙が出そうになる。

早速電話をして事情を話すと

1時間くらいで来てもらえることになった。

 

業者が来るまでの間、マンションの裏階段の下でポツンと座っていた。

この裏階段も2階へ上がる途中に堅牢な鉄の扉があって、鍵なしではどうしようもなかった。

「これも試練なのだな・・・」

と無理やり意味づけをし、今日一日を振り返る。

まさか今夜こんな展開になるとは夢にも思わなかった。

 

電話が鳴った。

「はい○○です。」

「○○さん、今どちらにいらっしゃいますか?」

すごく優しい声・・・良い人そうでホッとする。

「マンションの裏側の階段の下で座っています」

 

軽トラックのワゴンに乗った彼がきたとき

地獄の底で神を見た気がした。

 

ところが実際に彼と対面してみると、

「この人一癖あるかもしれない・・・」

と直感した。名前は仮にKとしておく。

やや太めでそれなりに愛嬌はあるのだが、その目つきに修羅場をくぐってきた感がにじみ出ていた。

電話では猫なで声だったが、Kには裏がある。

ただ裏があろうが、鍵を開けてもらえばどうでもよかった。

 

「それでは部屋にいきましょう」

Kにリードされる。

まず問題なのが、そもそも三階の私の部屋の前までいけないことだった。

エントランスを誰かに開けてもらわなければならない。

しかし、こういう時に限って誰も通らない。

 

この時、日曜の夜22時頃だっただろうか。

待っていても埒があかないので、Kは何ら躊躇することなく、あらゆる部屋のインターフォンを次から次へと鳴らし始めた。

私はとても恥ずかしかったが、そうするしかないことは確かだった。Kの思い切りの良さに圧倒された。

 

ただ、どの部屋の住人も応答してくれない。

それはそうだろう。

各住人の部屋の中にはモニターがついていて、インターフォンを鳴らす人間の顔が分かるようになっている。

日曜の夜22時に怪しげな男がインターフォンを鳴らしてきたら、私も間違いなく無視する。

 

結局、20件くらい鳴らしても見事にすべてスルーされたので、Kもいい加減あきらめた。

そして、明日管理人が出勤してきたら開けてもらおう、ということになり、

Kは一旦会社に戻ることになった。

 

この時点で、Kはまだ私の部屋のドアを見ていなかったが、

私が話した内容から推測すると【ロックのつまみ自体にロックが掛かるタイプ】で

鍵開けが一番難しいタイプかもしれない、とのこと。

そのため、彼だけでは難しい可能性があり、明日は応援を一人呼んでくると言われた。

 

「費用はいくら位になりますか?」と聞くと

「10万位ですね」との回答。

一瞬うろたえたが、不満を言える状況ではなかった。

思いつきで言っているようにしか思えなかったが、受け入れるしかない。

「これも授業料だ」

この経験は、今後の人生で何かしら役に立つはずである。

 

翌日9時にまた来ると言い残し、彼は一旦帰った。

翌朝まで私はどこかで時間をつぶさなくてはならない。

すぐに思いついたのが道玄坂上のカプセルホテルだった。

これを機会に、サウナでまったりしながら今後の人生について考えようと思った。

 

それはともかく、子猫たちはどうしているだろう。

おそらくあと12時間は部屋に入れないので、とても心配だった。

今頃ミャーミャー泣いているのではないかと思うと心が痛んだ。

人生を振り返る

徒歩10分程でカプセルホテルに到着。

受付の70歳位の店員さんの愛想がとてもよく、

惨めな気持ちを少しだけ癒やしてくれた。

どういう話の流れだったか

「鍵を失くて家に入れなくなっちゃって・・・」と私が言うと

「そりゃ大変だ」と同情してくれた。

 

券売機で宿泊用チケットを購入し店員さんに渡すと

引き換えにバスタオルとフリーサイズの館内着を手渡された。

 

ロッカールームへ行き、服を脱ぐ。

この感覚が懐かしかった。

思えば5年前、30も過ぎてニートをしていた頃、

日中居場所がなくて隠れるように、地元の健康センターで時間を潰していたのだった。

あの頃もしょっちゅう、昼間からロッカールームで服を脱いでいた。

そして、同世代の友人達が社会でそれなりの地位を確立してバリバリ働いているなかで、私は社会から隠れるようにして平日の日中に温泉につかっていた。

あの頃は毎日惨めだった。

 

しかしその5年後には、渋谷で高級マンションを所有できるくらいにまで人生を立て直すことができた。

どんな状況にあろうと、理想を常に高いレベルに設定しておくと、見えない力に引っ張られて、気がつけば理想の7~8割程度の水準は達成できている。

相変わらず理想の高い私は、10年後どこで何をしているだろう・・・

そんなことをサウナの中でテレビのニュースを見ながら思った。

 

サウナを出て喫煙所で一服する。

アルコールも購入できる自動販売機と3人がけの椅子とスタンド灰皿だけが置いてある

狭い部屋だった。

そこの窓から、いつも出勤時に行き来している道玄坂が見下ろせた。

あの当たり前の日常が、とても幸せだったということに気づかされた。

 

一服した後、明日に備えてとりあえず寝ることにした。

カプセルの中に入るのは惨めだったが、今日だけだと言い聞かせた。

カプセル内ではアダルト動画の視聴が可能だったが、そんな気分ではなかった。

 

鍵開けプロの登場

翌朝9時に、彼は仲間を連れて戻ってきた。

その仲間は、雰囲気が中田ヤスタカに似ていて、いかにもテクニシャンといった感じだった。

クールでシャイなところが私の気に入った。

この中田さんは一体何のために来たのだろう。

 

まずは管理人に事情を話し、エントランスとエレベーターのロックを解除してもらう。

三階の私の部屋の前にたどり着くと、中田さんは床にべったりと座り工具箱を開き何やら準備を始め、Kは手持ちのアタッシュケースからマシンガンのようなドリルを取り出した。

えっ?ドリル?

と思う間もなく、Kはドアの覗き窓めがけてドリルを突き刺した。

ガガガがガガガガガガガッ

私はその光景を、呆けたように口をあけて眺めていた。

精神的にボロボロだった。

「もうどうでもいいや」と思った。

 

Kは小休止を挟みながら、何度も何度もドアに突進していく。

勢いをつけて飛びかかっていくように見えた。

慣れたものであった。

 

やがて、覗き穴部分だけきれいに穴が空いた。

この穴からワイヤーを通して鍵を開けるらしい。

てっきりドアを破壊されると思っていた私は、少し胸を撫で下ろした。

これなら覗き穴部分の部品を替えるだけでまたもとの状態に戻すことができる。

 

次に中田さんの出番になった。

彼は事前にのぞき窓と鍵穴との間の距離を計っていて、

それに合わせてワイヤーの長さを調節していた。

 

そのワイヤーを穴に通すと

彼は手元のレンズを片眼で覗き始めた。

片手には何かトリガーらしきものを握っている。

 

つまりワイヤーの先には、小型のカメラとドアロックのつまみを回すための何かがついているのだろう。

世の中ってすごいなぁ、と思った。

 

ただ、ここからが長かった。

ワイヤーの先についている何かでドアロックを回そうとするが、空回りしてしまう。

そんな様子が伺えた。

 

中田さんは額の汗を拭いながら、何度も何度もチャレンジする。

そんな彼の横顔を見て、私は男惚れした。

プロフェッショナルのカッコ良さ。

 

カシャッ!

ワイヤーを穴に入れてから30分程奮闘した挙げ句、中田さんはとうとうミッションをクリアーした。

ふーっとため息をつき汗を拭う。その仕草がとても素敵であった。

 

 

Kは当初の言い値そのまま10万円を請求してきて、

私は素直に支払った。

たとえボッたぐりだとしてもそれはそれでかまわない、と思った。

プロフェッショナルの仕事に対する私の感謝の気持ちである。

私は腰を90度に曲げて「本当にありがとうございました」と言い

彼らを見送った。

 

ちなみにドリルで破壊されたドアスコープの換えについては

後で自分で業者に問い合わせてほしいとのことだった。

 

が、後でKが一人で戻ってきて

「車の中にちょうど同じ型のものがありました」

と言い、ササッと慣れた手つきで装着してまた去っていった。

おそらく、ボッタぐられたにもかかわらず何ら抵抗なく素直に応じる私に、多少の同情を感じたのかもしれなかった。

 

部屋の中に入ると、オスとメスのアメリカンショートヘアの子猫たちが、私の足にまとわりついてきた。

家があってペットが待っていてくれる当たり前の日常に感謝。

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